おもてとうらの話

ともだちが急に心細いからついてきてくれないかというので、何かと
思ったら、健康食品を売るバイトだった。

そこはお店ではなく、テナントビルの一室には段ボールがうずたかくあるだけである。

そのカーテンの間仕切りの向こうから二人の若い男性が出てきた。

年の頃はまだふたりとも若い。背広を着ているのにネクタイはせず、シャツのボタンを2つも外していていくぶん悪ぶった感じが目立つ。

私と友達はとにかく段ボールの中にあるパックの卵を袋に1つずつ入れるように指示された。

威圧的な雰囲気に息苦しさを感じながら友達と私は黙々と卵を詰めた。

少し時間が経つと、ひとりのお年寄りがやってきた。

「卵をただでもらえるのは、ここでええのですか」

「いえ、ただではなく100円いただきます」

「はいはい」

と小さながま口から100円を取り出そうとすると

男性の一人が飛び出してきて

「おばあちゃん、時間はまだですよ」

と言った。雨も降って寒いので中に誘導した。

ほどなくして、また一人また一人とお年寄りは現れ

またたくまにせまい部屋はいっぱいになる。

お年寄りの手を取り、優しい笑顔で席まで誘導する2人。

1パック100円の卵を売ってあとはどうするのかわからない。

ただの安売りではないのは確かだ。

ただ、友達と私は後ろめたい気持ちでそこに立っていたのは忘れられない。

小学生の頃、バス旅行というものが恐怖で仕方がなかった。

私の中で三大恐怖旅行というものがあって、

?林間学校
?臨海学校
?バス旅行

という具合である。


林間学校というのはいきなり山中に放たれ見たことのない虫におそわれながら恐怖の一夜を過ごす
(実際にムカデが耳の中に入ったことがある(笑))あれである。
そして臨海学校というのは泳げる泳げないにかかわらずとにかく10?泳がさせられるアレである。
「終わった後にスイカがあるぞー」との先生のかけ声に「スイカて・・・」と半分おぼれかけながら
思った思い出がある。

しかしこの2つの過酷な旅行にもまして第1位に輝くのが「バス旅行」なのである。

何が恐怖なのかというと「集団おう吐」だ。

まずすぐバス酔いしてしまうのにくじ運が悪い人間が吐く。

引率の先生の隣に座るけど、まだ吐きそうなのと雰囲気で回りの人間が1人、2人と吐いていく。

バス旅行の行程のほとんどはバスの中なのでその間中阿鼻叫喚地獄にみまわれる。


と、いうわけでバス旅行は怖い。

ハプニング

こないだ、知らない人が

「おぉ、久しぶり」

と、声をかけてきた。

「誰だろう??」

と、思ったけど「誰ですか」と聞くのも失礼だったので

笑顔でこんにちは、と話しかけた。

するとむっとした表情で

「君、誰だよ」

と言われたので

「お前こそ誰だよ」

と言ってしまった。

大変だぁ・・・

年末年始に彼氏と旅行に行く予定ですが、昨日の合コンで知り合った男のコのコトが気になっていて・・・。
彼氏とは結構色んな面も見てきてるし、もういいかなって状態です。
そしてその男のコを好きになりそうな感じ。
男のコに彼氏とのことを話したら、いきなり旅行に行こうと言い出しました。
こっちのコト、なんにも考えずに・・・

正直、気持ちがまだはっきりしていないので内緒で旅行に行っていいのかどうかわからない状態・・・どうしよぉ・・・。

愛、おぼえていますか的な話

深夜、とある友人から電話がかかってきた。
「どうしたの…?」
眠たい眼をこすりながらいうと、
「橋本善太郎に会わせてあげる!」
と唐突な申し出が。
橋本善太郎とは私が好きなバンド「ロックQ」のギターボーカルだ。
「なんですと!?」
いっきにアドレナリンとセロトニンが噴出して脳みそが大洪水を起こして、耳からちょっと出た。
なんでも、友人が勤めるカフェにやって来たお客さんが橋本善太郎の妹だったという。

ライブには何度か足を運んでいたが、それはもう宗教とか啓蒙に近いもので握手やサインなどを求めるなんてあり得なかった。

ましてや橋善(橋本善太郎)に会えるなんて…、私の心は半世紀ぶりにうちふるえた。

ジムとかネモとか…もうそのへんの話

アニメ好きの朝は早い。
私はコミック、キャラクター担当を任されてる(能力がどっちつかずの中途半端な)ため、みんなより早く出社しないといけない。
今日は、ガンガンとジャンプが前倒しで入ってくる日なので大変だ(汗)そのほかもコミックバーズゼロサムなどなど・・・。
花ゆめコミックも入ってくるので大忙しだ。
コミックはそうでもないが、雑誌のシュリンク作業はいまだになれない。
10時開店で飛び込むお客さんに手渡すため、烈火のごとく作業を終わらせなきゃいけない。
ガンガン、ゼロサムはボリュームが凄いので何回もやり直さなきゃいけなかったりする。
そんな時、いつもの怒号が飛び交う。
「遊びでやってんじゃねぇんだヨォっ」と。
しかしメディア担当でなくてヤレヤレといったところか。
あそこはコミックほどの忙しさではないにしても、シビアさ、正確さが求められて
「ええと…あった!冷却シフト、耐熱フィールド!!」なんてまがあったら即クレームものである。

傍観者日記 連休編

電車に乗り込むと、目の前に体格のいい親子が座っていた。
厳しい顔つきの父親と同じように、りりしくしようとしている子供。
子供がくしゃみをしてしまったので、父親は優しくタオルを差し出した。
「あっちに走っているのは電車?」と、子供。
うんそう、とささやく程度に父が答える。
今度は
「あっちに走ってるのも電車。」と父。子供、うなづく。

向かいに若い女性の二人連れが座る。
派手なファッションではあるが年は10代後半だろうか、まだあどけなさが残っている。
「安っぽい女と思われてるんじゃない?
遊びたいんだったら遊びたいで割り切ればいいじゃない、あの人はそういう人だって。」
乾いた空気に強がったような女性の声が響き渡る。

その横には虐待の記事を必死に読む初老の女性。
すすけた色のジャンパーにくたびれた帽子、肩から提げている鞄はおそらく中古市で500円で買ったものだろう。
「逃げたら殺す」「血痕」と物騒におどる文字を喰い入るように見つめている。

さっきの親子の父がリュックをごそごそしてから子供に「今、食べる?」と聞いた。子供は、小さくかぶりを振った。