傍観者日記

どっかの歴史の教科書で見たような初老の男性が本を読んでいる。
厚めのハードカバーのタイトルは「司馬遼太郎が考えたこと3」とある。
ということは、1も2も読破したということか。なるほど歴史小説坂本龍馬司馬遼太郎団塊をつくりあげてきた3大要素である。
はす向かいに座る服部良一のような男性は文庫サイズの本をすました顔で読んでいる。
眼の前に座るホットパンツのゆる巻きの女性に目くばせしながら読んでいたが、女性が北新地で下りていくと
とたんに少年マガジンを取り出した。
その隣に座る男性は、ヨーロッパ風の上品な顔立ちをした男性。音楽関係の仕事をしているらしくファイルに挟んだ譜面に目を通しては
組んだ足のひざの上でリズムを刻んでいる。
パリッとしたストライプのスーツを着こなしている30代前後の男性はどこまで顔が伸びるのか挑戦しているかのようなあくびをしている。
大学生だろうか、Ipodをしきりにいじっていて、今日の気分の曲を選んでいる。
ストレイテナーコブクロバンプ(オブチキン)ケツメイシと今をときめくこの年代の男性の好きそうな曲が編集されている。
その中に「切ない曲」というインデックスがあった。アーティスト問わず、切ない時に聴きたい曲なのだろう。
結局、男性は「天体観測」を選んだようだ。
うつむく男性の横に、健康的なおばさん軍団が所狭しと座り込む。
息子がギターを始めたからうるさくて困っているという話からカニの甲羅の話までとにかくしゃべるしゃべる。
ある意味このおばさん達には天文学的なものを感じるので妙に納得してしまった。